【管理栄養学科】大阪府中央卸売市場食品衛生検査所で体験実習を行いました。

10月13日と10月20日の2日間、2年生の「食品衛生学実験」の授業で大阪府中央卸売市場食品衛生検査所にうかがいました。
 
最初に食品衛生検査所の主な業務についての講義を受けました。
監視業務の一つの早朝監視では、セリが始まる前に立ち入り監視を行い、違反や不良食品がないか、表示が適正かなどを確認しています。
検査業務では、細菌検査、理化学検査を行っており、食品衛生法に基づいた成分規格や使用基準に違反していないかなどを確認しています。
指導業務では、市場関係者を対象とした食中毒予防やHACCP支援のための講習会の開催、食品の取り扱いや表示・異物混入などについての相談の受付、市場や検査所に見学に訪れる一般の方への食品衛生の説明等を行っています。
 
講義の後は、2班に分かれて細菌検査(腸炎ビブリオの検査)と理化学検査(着色料と漂白剤の検査)を体験させていただきました。
 
細菌検査では、生食用魚介類が主な原因食品となる腸炎ビブリオ食中毒について、菌の特徴や食中毒予防のポイントを学んだ後に、実際に菌を培養・同定する操作方法を体験しました。



TCBS培地(ビブリオ属菌を選択的に培養)に白金耳を用いて試験液を塗抹している様子

仮想菌をTCBS培地から有塩TSI培地に白金耳を用いて穿刺している様子
 
どの塩分濃度のペプトン水で菌が発育している(濁っている)かを確認している様子
 
白金耳で培地に仮想菌を塗抹したり、穿刺(せんし)する作業が非常に繊細で難しく、また、ペプトン水の濁りの判定にも見分けるコツが必要なことがわかりました。
 
理化学実習では、まず、食品中の着色料(タール色素)の検査方法として、TLC(薄層クロマトグラフィー)による判定方法を体験しました。

シリカゲル薄層プレートに試験液と色素標準液をスポットしている様子

        展開溶媒にシリカゲル薄層プレートを浸して展開している様子
 







シリカゲル薄層プレートの展開が終わったら色素標準液と試験液のスポット位置から展開線までの距離や紫外線蛍光のありなしで試験液に含まれている着色料を判定しました。
 
 展開後のシリカゲル薄層プレート

漂白剤についてはむきえびを使った実演を見学しました。
 
漂白剤の検査は、薬品を入れるとすぐに反応が始まってしまうため、正確な結果を出すためには手際よく操作をしなければならないことがわかりました。
 
以下、学生の感想の一部を紹介します。
大阪府中央卸売市場は東京ドーム約5個分の面積があり、このような広い場所に運ばれる食品の品質、安全を人の手で守っていると知り驚いた。
食品衛生監視員の方達は、細菌検査や理化学検査などの様々な検査を行ったり、早朝からセリ前の立ち入り監視を行い、私たちが口にする食べ物の安全を守ってくれているのだということを学んだ。
この研修を通して私もこういう仕事がしたいと思った。
毎日、長時間いろんな作業を行なって検査してくれているので、改めて食品ロスの削減に協力したり、感謝して調理、食事をしようと思った。
実際の細菌検査は菌を培養するのにとても時間がかかるので、今回のように判定がすぐにできないことや、TLC実験では、実際はもっと多くの色素標準溶液を用いて検査をしていると聞いて、根気のいる大変な作業を毎日行なっているんだなと思った。
普段私たちが実験で学んだことが、実際に検査で行われていることを実感した。
今回体験した実習は結構細かい作業で、少しでも間違えると大変なことになるから、すごく神経を使う仕事だなと思った。大学に入って初めてもっといろいろ知りたいワクワク感を感じられ、楽しかった。
食品衛生監視員の方のお話を実際に聞ける機会はなかなか無いので、とても貴重な経験になった。
 
今回の体験実習を通して、学生たちは食品衛生監視員の業務について多くのことを学び、食品衛生により興味を持つことができました。
 
大阪府中央卸売市場食品衛生検査所ならびに市場の皆さまには、今年度も非常に貴重な体験の機会をいただきましたことを心より感謝申し上げます。