食文化・沼島の鱧

みなさま
こんにちは、関野です。暑中お見舞い申し上げます。

淡路島洲本へ沼島の夏の味覚「鱧(ハモ)料理」を食べに
往復200kmをドライブしました。
沼島は淡路島の南4kmにある島で、鱧で有名です。
沼島の鱧は沼島沿岸域に住む、全長1~2mの大型肉食魚です。

沼島の鱧は皮が薄く肉厚で身、骨が柔らかく食べやすいのが特徴で、
沼島と言えば鱧です(参照:沼島のホームページ)。

鱧は梅雨の雨を飲んで美味しくなると言われ、
7月から9月までが脂がのり美味しくいただける季節です。
京の祇園祭、大阪天神祭に欠かせない食材です。
京都で鱧を食べる文化がいつ発達したのかは諸説があります。

鱧は生命力が強く、交通手段、輸送技術がなかった時代に
明石港、淡路島から海水を張った籠で京都まで生きたまま運ぶことができたためと言われています。
祇園祭の暑い季節に長いものを食べると精力がつくとされ珍重されています。

鱧は硬い小骨が多く、「骨切り」と呼ばれる下処理で食べることができます。
骨切りの技術は京都にはなく、大分県中津の料理人が伝えたとされています。
骨切りの技術が京都に伝わったのを調べるのも面白そうです。
骨切りは一寸(3cm位)の間に24の切れ目を入れて一人前の板前だそうです。

代表的な3種類の鱧料理を紹介しましょう。



これは「鱧オランダ真蒸の椀物」です。読み方はしんじょで真薯の字の表現が多いです。
右の褐色の物がオランダ真蒸で鱧肉をすりつぶし、
つなぎに山芋、卵を加えて成型した練り物カマボコです。
料理名にオランダが付くのは揚げてから煮る料理で江戸時代に揚げ物が珍しく
外国から伝わったと思われる料理法を
唯一みんなが知っていたオランダの国名で表現したそうです。



これは「鱧のすき鍋」です。鱧(手前)、豆腐、麩、玉ねぎ、レタス、水菜です。
鱧と言えば湯引きか焼きが一般的な食べ方ですが
すき鍋も淡白で美味しく今一番のお勧め料理だそうです。
昔から「鱧縄漁師」の夏の滋養食として漁師に「鱧すき」として食べられてきたそうです。
ご存知のように淡路島は甘~い玉ねぎ産地で有名です。
玉ねぎの収穫後レタスを作り、しゃきしゃきのレタスも有名です。
他のすき鍋と異なり、最初に玉ねぎを入れて出汁に甘味を付けてから
他の食材を入れてくださいと指導されました。



これは「鱧焼き霜造り」で、夏のお刺身です。
これは鱧を骨切りした後、鱧の表面を焼いて冷やし、
中身は半生のままで甘味があります。カツオのたたきのイメージですネ。
鱧料理の代表は湯引きですが、この料理法は昔ながらの料理法で、
焼き霜造りはモダンな料理法とされています。
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鱧はどんな料理にしても美味しくいただける万能魚でした。
神戸三宮から淡路島洲本まで高速バスがあり、
この暑い夏に淡路島まで本場の鱧を食べに行ってください!!