食文化・的矢の夏カキ①

みなさま、こんにちは、関野です。

初めて夏カキを食べに伊勢志摩の的矢(まとや)湾へ
往復550KMのドライブをしてきました。

1)的矢カキ

宿屋から見る的矢湾の風景です。手前道路が磯釣りいかだ、
湾に浮かぶカキ養殖いかだが見えます。



的矢カキは非常に大粒で、生カキにレモン汁をかけていただきました。



せいろ蒸しカキとカキ飯でいただきました、
ほのかな磯の香りと豊かな滋味で冬カキに比べて濃厚な味でした。
的矢カキ夏フルコース料理は1人前何十個と的矢カキづくしでした。
カキ大好物の方にはお勧めですネ。

的矢湾は、三重県志摩半島の東側にある東西10kmほどの
細長いリアス式海岸にある湾です。
三本の川が的矢湾に注ぎ、川は地面で濾過された雨水と地表の養分を運び、
それらを栄養とするプランクトンが湾に大量に発生します。

このたくさんのプランクトンを食べるカキは生育が早く養殖に適していることを
「的矢カキ」の生みの親で水産学者佐藤忠勇氏(1887年‐1984年)が発見しました。
彼は現在日本のどこの養殖場でも行われている「垂下式養殖法」を
1928年に確立しました。

また、戦後アメリカ軍の「日本のカキは不衛生、食べないように」との指示を聞いた彼は
「生でも安心して食べられる無菌カキを作りたい」との強い思いで研究開発をしました。
当時の欧米ではカキの浄化法はさらし粉などの薬品消毒だと分かり、
これではカキのおいしさは台無しになると考え、
薬品を用いない浄化法の研究を開始しました。

この研究はカキの習性を利用したものでカキは一日に300リットルもの海水を吸い込みます。
この海水を紫外線で殺菌し、この殺菌した海水を利用したカキの浄化法を考案し、
1955年に「オゾン・紫外線併用殺菌海水装置」の特許を取得しました。
2001年に三重ブランドに認定されました。

2)甲賀流・伊賀流忍術屋敷


的矢湾に行く途中にある甲賀(こうか)流・伊賀流忍者屋敷に立ち寄りました。
この写真の甲賀流忍術屋敷は甲賀武士五十三家のひとり望月出雲守の邸宅です。
この邸宅が本物の忍者が住んでいた現存する唯一の忍者屋敷だそうです。
一見普通の茅葺の平屋ですが中にはどんでん返し、落とし穴、抜け道など様々な仕掛けがある
「カラクリ屋敷の3階建て」でした。

山一つ越えた場所にある甲賀と伊賀は昔から犬猿の仲と伝えられています。
甲賀流忍者は望月家が有名で豊臣秀吉の命によって諸国に散らばり情報を
収集し徳川家の監視を行っていました。
当時は他所から来た人間に対する警戒心が強かったので
甲賀流忍者は薬売りに扮していたと言われています。

富山などの置き薬売りが盛んで警戒心を抱かれにくくするためだったそうです。
伝説の甲賀流忍者猿飛佐助はこの望月家の忍者だったとの説もあるそうです。
甲賀流忍者の名残からか甲賀市は今も製薬業が盛んな土地だそうです。

伊賀流忍者は、服部半蔵の活躍が有名で徳川家康の配下として仕えていました。
つまり甲賀と伊賀の対立関係は各々の主人であった豊臣と徳川との対立関係が投影されたものだったのです。
また、伊賀市は松尾芭蕉の出身地で忍者と俳聖生誕の地として知られています。
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次回へ続きます。