食文化/グラン・メゾン

こんにちは。食文化学科の関野です。
今、担当のレストラン論で「グラン・メゾン(高級レストランGrande maison)」などの
話をしています。グラン・メゾンの表現はメゾンが女性名詞で「グランド・メゾン」が
正しい言い方だそうですが、日本ではグラン・メゾンで普及しています。

グラン・メゾンの一つ奈良ホテルの中にある三笠に行ってきました。
日本では明治時代高級ホテルが開業し集客を目的に高級レストランを作りました。
それ以降、日本の食材と西洋の技法を活用し洋食屋が出現し、
それらが高級レストランに進化しました。それらの代表の一つが三笠です。

1935年(昭和10年)に訪日した満州国皇帝溥儀の宿泊時、ディナーセットなどの
磁器は日本を代表する陶磁器メーカー大倉陶園に最高級品が特注され、
今も展示されていました。また、明治中期「極東一の豪華ホテル」とうたわれた
長崎ホテル(1898~1908年)が開業時に英国から調達した金銀のナイフやフォーク
などのカトラリー約1600点が、奈良ホテルで見つかりました。
ホテル開業時を思い起こす形で金銀器類のカトラリーを実際に手にとって
食事をいただける会食会もあるそうです。

 



奈良ホテルは、ご存知のように1909年(明治42年)奈良公園に「関西の迎賓館」
として誕生しました。
日露戦争後、外国人観光客が急増し、政府は外国人宿泊施設充実の政策を
取りました。東京駅舎の辰野金吾・片岡安の設計と河合浩蔵の工事監理で
着工しました。彼らは当時の日本を代表する建築家たちです。

ホテルは寺社の多いまわりの景観に合うように、木造2階建ての瓦葺き建築物で
屋根上に鴟尾(しび)を置き、壁面を白い漆喰(しっくい)仕上げで、
内装は桃山風の豪華さとドイツ風の重厚さが混在する和洋折衷様式です。
外国からの観光客誘致の宣伝ポスター用に、横山大観、上村松園、前田青邨、
川合玉堂、竹内栖鳳ら当時の日本画家に絵画制作を依頼し、
今もその絵画はホテル内に展示されていました。

奈良ホテルは庭も含めてホテル全体が日本を代表する美術館でした。

 

この写真は1階フロント前にある鳥居を配した暖炉です、素敵ですネ。

時間があったので、何十年ぶりかでホテル近くの東大寺大仏殿と春日大社を
散策しました。