食文化・かぶら寿司

みなさま、こんにちは。食文化学科の関野です。
今回は「かぶら寿司」の紹介をします。富山出身の夫は久しぶりにお正月富山に帰り、
かぶら寿司を土産に持ち帰りました。



名称:こうじ漬け
品名:かぶらずし
原材料:かぶら、ます、こうじ、ご飯、人参、こんぶ、柚、唐辛子、食塩

富山の人たちは自分の庭、畑で野菜を作っています。このためスーパーでの野菜は大阪より高値で最初はどうして…とビックリしました。元々、人口が少ないのと富山の人は自分の家で野菜を作っているので野菜を買う人が少ないからです。今は亡き義両親も冬には畑でかぶら、大根、白菜、人参などを作っていました。

かぶら、人参、白菜はかぶら寿司に使用するためで、ブリの水揚げが最盛期となる冬の名産寒ブリとかぶら寿司用の麹を、スーパーで買ってきていました。自分で塩漬けにしたブリの薄切りをかぶらに、はさみ込みます。それらを細く切った人参、かぶら、柚子、唐辛子や昆布などと一緒に、米麹(糀)で漬け込んで醗酵させ、かぶら寿司を作りました。



残りのアラの部分のブリは畑で作った大根とで「ブリ大根」を作ります。
ブリ大根は、ブリのアラを大根と一緒に醤油、味噌などで煮付けた郷土料理で、ブリに脂が乗ってくる冬の料理です。2007年、農山漁村の郷土料理百選において富山県の郷土料理として選定されたそうです。今は、全国で食べられているポピュラーな料理ですネ。

大根の葉は「よごし」に変身します。よごしはダイコンの葉をゆでて細かく切り、ジャコを入れ味噌、醤油などで味つけをし、炒った料理です。

味噌で野菜を「汚す」という行為が料理名の由来とか。

*****

この3つの料理が富山など北陸地方の郷土料理で、私たちがお正月に富山に帰った時のおもてなし料理でもありました。かぶら寿司(刺身)⇒ブリ大根⇒よごしとこの3食品はつながっています。 かぶら寿司は乳酸発酵させて作る「なれずし」の一種で北海道から北陸にかけて多くあり、その中でかぶら寿司は野菜を入れるのが特徴だそうです。

使われる魚は、ブリだけではなく、鯖、ます、にしんなどの地域や家庭があります。
使う野菜は、ニンジン、ショウガ、柚子、キャベツ、大根、きゅうり、タマネギ、サンショウなどで細く切ります。他のなれずしに比べると漬ける期間が短いために乳酸の香りは穏やかで、味は独特のコクと米の甘味があり

乳酸の酸っぱさも強くないので、初めて食べた人にも好評です。
私も初めて食べた時から大好物になりました。微生物を利用した発酵食品なので、
各家庭・各メーカーで少しずつ味が異なり、これも食べるときの楽しみの一つですネ。

また、微生物利用つながりで日本酒などのアルコールのサカナ(大阪弁であて)に最適だそうです。
大阪の百貨店で売られていて、私も懐かしくて買って食べましたが、富山で食べるのとは・・・。
冬に富山など北陸地方に行かれた時は、どうぞスーパーでお買いください。

スーパー製のかぶら寿司は安くて十分美味です。一度トライしてくださいネ。