日本文化創造学科 三木雅博教授がご著書を出版されました!

こんにちは。日創の前田です。

今日は嬉しいお知らせの紹介です。

 

先日、本学科の三木雅博教授がご著書(共著)を出版されました。

■『和歌の浦の誕生―古典文学と玉津島社』(清文堂出版、定価3600円+税)



 

和歌山市の南西部に位置する「和歌の浦」は、奈良時代に聖武天皇が行幸して以後、和歌の聖地とされ、その景観はしばしば和歌に詠まれてきました。

 

ところが、そうした豊かな歴史・文化を持つ「和歌の浦」の景観が、失われつつあります。
本書は、景観の保全と活性化を意図して出版されたそうです。

 

三木先生の執筆担当部分は、下記の4つの章です。

①「聖武天皇の詔の表現と漢籍」
②「古今和歌集の和歌の浦」
③「藤原公任の和歌の浦訪問をめぐって」
④「小野小町と玉津島――中世玉津島信仰と小町」

 

先生の「和歌の浦」への思いが最もあらわれているのは、③ではないでしょうか。
(私個人としては、④もたいへん興味深い)

 

聖武天皇に代表されるように、奈良時代には天皇・貴族たちの訪問地として知られた「和歌の浦」でしたが、平安時代になると、京都の貴族が足を運ぶことは長らく途絶えていました。
そうした中、平安時代を代表する歌人として名高い藤原公任は、和歌山方面を旅して「和歌の浦」を訪れます。
先生は、公任が記した記録を丁寧に読みとき、旅の目的が「和歌の浦」を訪れることにあったことを論じています。
(従来は、粉河寺への訪問が目的だと考えられていました。)

 

この時に公任が残した旅の記録から、私たちは、1000年前の「和歌の浦」の景観やそこに生きた人々の姿を知ることができます。

 

「和歌の浦の悠久の歴史の中で、藤原公任がこの地を訪れたことを、私たちは末永く忘れずにいたいと思う」(同著118頁)

 

この一文からは、和歌山で生まれ育ち、今も居住されている三木先生(2時間以上かけて、梅花まで通われています…)が、「和歌の浦」に注ぐ熱いまなざしを感じることができます。

 

ぜひ、一読をオススメします。

 

日創 まえだ