アニマルセラピーコース東京取材の旅

心理学科の渡邊です。この夏、アニマルセラピーコースの今後の学びと就職関連の調査のために、東京のいくつかの施設を見学してきました。

まずは上野動物園です。行ったことのある方も多いと思いますが、獣医師なのに恥ずかしながら僕は実は今回生まれて初めて行ってきました。

やはり日本一の動物園。圧巻の内容でした。残念ながら話題の【子パンダ】はまだ見ることができなかったのですが、【大人パンダ】でも十分すぎるぐらい可愛かったです。


カワウソは溺死したんちゃうか!?と思いましたが、貴重な足の裏を見ることができました。


展示の仕方で面白いなぁと感じたことは、トラなどの密林に住む動物の展示場に小川が流れてるんですね。これがグッとリアリティを高めていました。フィールド自体にも【動き】を持たせることで、こんなにも動物が生き生きしているように見えるのか!と感じました。


ホッキョクグマがしゃぶりついているのは、おそらく牛の大腿骨です。すごい迫力。


そして僕個人としてはゴリラにはまってしまいました。自分に近いものを感じたからかもしれません…(笑)




次に夜間の救急動物病院と友人の動物病院にも見学に行ってきました。関東での獣医療の生の声を聞くためです。関西との違いがいくつもあり勉強になりました。東京の動物病院でも獣医師・看護師ともに人手不足なようです。




そして今回の【遠征】のメインの目的が、マースリミテッドジャパンさんの本社の訪問でした。この企業はみなさんもご存知の超有名なチョコレート菓子を扱っている外資系企業で、動物のフードやおやつなども扱っておられます。よければ検索してみてください。

今回僕が「どうしても見てみたい!」と訪問させていただいた理由が実はコレなんです。


そう。オフィスの中に猫ちゃんがいるんですね。大阪にもオフィスをお持ちですが、猫がいるのは東京のオフィスだけなんです。猫たちが暮らす部屋は広々としていて、まるで猫カフェみたい。




この猫ちゃんたちは実は遠く小笠原諸島のある島で、固有種を捕食してしまうので駆除対象となり捕獲されたという経歴を持っています。元々飼われていた猫が地域猫化してしまうのはどこにでもあることなんですが、これが離島となると思わぬ問題が生じてしまうのですね…。人と動物、そして自然との関わりについて考えさせられました。

仕事のあいまに社員の方で猫好きな方はだれでもふれあいに来れるそうなんですが、当然中には動物が苦手だという方もおられます。もしくは動物は好きだけどアレルギーが…という方もおられます。そういう方に配慮しながら、なおかつ猫が自由に生活できるように、そしてその姿を猫好きな方にはみていただけるような設備があるのです。それがこちら!




なんと部屋を行き来できる天井トンネル、キャットウォークがあるのです。これで【共生】もばっちりですよね。限られたスペースの中で、猫ちゃんたちは自由奔放に動き回れますし、その様子を我々が楽しむこともできます。

動物好きが集まる職場だからこそ、動物が苦手だという人にとことん配慮する、ルールをしっかり守る。これが徹底されているのだということを強く強く感じました。先ほどの猫を保護したというお話もそうですが、人と動物の生活のために企業として何ができるのかということに日々取り組んでおられ、そしてそれを世に向けて発信されておられるんだという様子が伝わってきました。

また今回は残念ながら会えなかったのですが、社員の方がご自分のワンコを連れて出社されているケースもあるそうです。それによって、単に仕事の効率が上がるだけでなく、そのワンコを囲んで自然と会話が生まれ、お互いにお世話しあったりすることでチームワークが高まるんだとか。これぞまさにアニマルセラピーの【社会的効果】ですよね。

また担当してくださった広報の方が仰っておられましたが、たとえばペットフード関連の企業に就職すると、たしかに直接動物と触れ合う以外の業務がほとんどになります。しかし、そこで仕事をするのは「人と動物がよりよい生活をするにはどうしたらよいか」ということのためであるし、なにより「動物と生活するってこんなに楽しいんや!」ということを実感として持っている人でなければ、想像力を働かしてより良い製品を開発することはできないんだというお言葉がとても印象的でした。

心理学科で学ぶこと、心理学科で体験することが、必ずしも直接動物に触れ合う仕事だけではなく、人と動物の生活のための仕事でも生きるんだという、その分野で日本をリードされておられるトップランナーの方のお言葉は、学生に伝える側の身としてとても勇気付けられました。

これからも広い視野で「人と動物のより良い関係ってなんだろう??」ということを、学生さんと一緒に深めていこうと改めて決意した次第です。

今後も引き続き、様々な現場を取材し、紹介していきたいと思います。

それではみなさま。

Ci vediamo!