南九州の旅 後編

関野先生による「南九州の旅」後編です。
 

2)鹿児島県

①霧島市

鹿児島県霧島市にある種麹屋を訪ねました。

河内源一郎は、鹿児島で暑さのために焼酎が腐るのは暑さと使用している麹の相性が悪いと考え、1910(明治43)年、彼は沖縄泡盛の麹菌から黒麹の分離に成功、この泡盛黒麹菌は暑さに強い種麹で、この発見は九州の醸造家から歓迎され、瞬く間に九州全土に普及し焼酎造りは飛躍的に伸展しました。しかし、彼は少々クセのある味に満足せず研究を続け、“泡盛黒麹菌の突然変異”の白麹菌を発見。この菌での醸造は難しいですが収量が多く、味も香りもまろやかな美味しい焼酎ができました。
河内菌白麹と名付けられた新種の麹菌が九州全土で使用されるようになりました(パンフレットより)。

②種子島

人口は3万人ほど、標高は282mで海側から見るとほとんど平らに見えます。隣の屋久島は標高1936mで対照的です。

こちらは落花生畑。原産地はブラジル、新大陸発見で世界中に広がりました。日本では1874(明治7)年アメリカから種を導入し、主な生産地は80%弱占める千葉県。ここ種子島も1915(大正4)年から栽培を始めました。7月から収穫ができ、南国の暑い日差しを浴び、味は抜群でゆでて食べるのに適した品種が多く植えられています。落花生の茎は家畜のエサに利用します。

安納芋畑、種子島の安納芋文化の始まりは、第二次世界大戦後スマトラ島から一人の兵隊が持ち帰ったネットリした芋からです。琉球から伝わったサツマイモとは違う甘さがあり、この美味しい芋を島内で栽培したのが始まりで、種子島の特産品になりました(パンフレットより)。

安納芋が種子島の土壌にあったのは島の標高が低く、ミネラルを含んだ潮風がまんべんなく吹き渡り天然肥料になったため。また、海底が隆起した堆積岩の島で土中にミネラルが多く含まれているので、ここで育つ安納芋は糖度が高くコクのある味になるそうです。
 

宇宙センター内にある日本最大のロケット発射場、海と山がある世界一美しい射場と言われています。9月11日にHⅡBの発射があるそうです。ホテルなどは発射の予定日が発表されるとすぐに満員になるほど、発射の見物は人気があります。

1543(天文12)年種子島最南端の門倉岬に1隻の異国船が漂着し、この船に乗っていたポルトガル人が鉄砲を所持していたことから日本に鉄砲が伝わりました。

③屋久島

人口は13,000人ほど、九州最高峰の宮之浦岳など1,000m以上の高い山々が連座した「洋上アルプス」。世界的にも貴重な自然が残っており、1993(平成5)年世界自然遺産に登録されました。

屋久島は飛び魚漁日本一、日本近海を30種の飛び魚が回遊していて屋久島を通過します。船に乗っていると種子島と屋久島の間で飛び魚が飛んでいるのを見ることができます。島では季節ごとに違った飛び魚をいろいろな料理で味わいます。写真の飛び魚は唐揚げで、中骨以外すべて食べます。弾力があってあっさりした味でした。下のさつま揚げも飛び魚のすり身で、揚げたてで身がしまりプリプリで美味しかったです。脂肪が少なく、高タンパク低カロリーの優しい食材。

紀元杉で樹齢三千年を超える巨大な屋久杉。樹齢が1000年を越えるものをヤクスギと呼ぶ。ヤクスギは多雨・強風・鹿の生息などの自然環境に対応し抗菌性を持つ樹脂を多量に分泌し長寿になるなど特徴的な形質を有する(パンフレットより)。抗菌性による耐久性で豊臣秀吉の命で大坂へ杉を運んだ形跡があるそうです(パンフレットより)。

1000年以上のヤクスギは年輪がゆがみ、現場山地での製材が不可能であったため放置され現在も生き残ったそうです。

旅は思いがけないことに出会い、あとから調べることがワクワクですネ。